2020年01月

令和元年11月23日(祝)
どげんかせんといかん日本の慢性痛治療 ~その痛みをあきらめないために相互に連携を~
内容報告

《講演⑤》痛みに漢方治療を!


     平田ペインクリニック院長 平田道彦

 

 今日は、痛みに漢方治療をぜひ使っていただきたいというお話をします。

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■症例①心身の疲労をとる
 まずこの女性を見てください。非常ににこやかな70代後半の女性です。「先生は、顔色が悪いからリポビタンDでも飲んで元気になってください」と毎回、もってきてくれます。この女性が4週間前どんな様子だったかというと・・寝たきりでした。「全身が痺れる。痛い。眠れない。味もしないので食べられない。いろんな病院に行ったけれど、薬もたくさん飲んだのに治らない。こんなに痛くて痺れるのなら生きていても仕方がない」と訴えておられました。そこで、眠られない、食べられないことに着目して、いろいろな痛みもあるだろうけど、まずは心身の疲労をとってあげようということである漢方薬を処方すると、先ほどのほがらかな女性に生まれ変わりました。僅か4週間です。
 
■症例②心と体の両方を診る
この年配の女性は、ストレッチャー式車いすで診察室に入ってきました。背中や腰が痛くて起き上がれず、大きな声で「なんとかして、先生」と叫んでいました。MRIを撮ってみたところ、古い圧迫骨折の跡がなんと8か所もありました。見るだけで痛々しいMRI画像ですが、もう治っている骨折なので痛みの原因ではないと考えられます。背中の筋肉がものすごく緊張してしまって、それが痛みの原因になっているのではないかと考えました。それと、大声を出しておられているということは精神的緊張がありますので、このような状況になっているんじゃないかと考えました。そこで、筋肉の緊張と精神的な緊張を同時に弛める漢方治療をしました。2週間で、立位が可能になりました。やはり、心(精神)と体の両方を診ていくことが大切だとわかる症例でした。
 
■症例③頚椎からくる痛み
歯が痛い40代の女性ですが、8年前に歯が痛くなりました。色々な歯科治療を受けましたが痛みがとれませんでした。最近は寝られないくらい痛い。大学病院で専門的な治療も受けたが変わらない。抜いても痛みがとれないのだから原因は歯ではない。ということで、話をよく聞いてみると、交通事故で頚を痛めたことがあるとのこと。頚、頚椎からくる痛みがあると言われているので、頚の緊張をとる漢方薬と、ぽっちゃり型の体形を考慮した漢方薬を処方しました。1週間後、「痛みが10分の1くらいになり、鬱々としていた気分もすっきりしました。」と喜んで診察室に来られました。 
今日、頚の骨は多難の時代です。交通事故だけでなく長時間のスマホやパソコン、寝具、特に枕が合わない方もいらっしゃいます。頚をいためると首だけでなく、顔や歯が痛くなることも知っておいていただけるとよいと思います。
 
■症例④手術後の痛み
この方は、頚髄にできた腫瘍を手術でとった方です。60代男性で、8か月前に手術をしました。骨も削りましたので金属で固定してあります。その手術の後に、「左の腕が痛い、痺れる、麻痺があって握れない」という症状が出てきました。当然、手術した医者は、「あきらめなさい。腫瘍がとれたのだから良しとしなさい。」との仰りようです。腫瘍が神経に触っていたのですから、神経は傷つきます。腕に行く神経を傷めざるをえないのは仕方がないことです。ですから、漢方治療とは言ってもチャレンジのようなものです。頚の筋肉が緊張していると考えられるので、頚の緊張をとる漢方薬を使ってみました。神経の回復に良いとされる漢方薬がありますので、それも混ぜて使ってみるということをしました。長くかかりました。4ヶ月後「細かい動作がしやすくなって、痛みも和らいできた。」と話されました。
 
■症例⑤体質に注目する
この方は、50代の女性。2mの高さから転落し腰などを強打されました。右の腰から足にかけて激痛が走って身動きがとれない。ですが調べても骨折などはない。入院して詳しく検査しても痛みが全然取れない。痛み止めも効かないということで紹介されてきました。体質に注目し、いわゆる水太りの方なので、余分な水分を減らしていこうという漢方薬と、打ち身やねん挫によく効く漢方薬を処方しました。3週間後、元気に立つことができるようになりほぼ完治しました。どうして、こういうことが起こるのか私自身にもよくわかりません。ですが、西洋医学と東洋医学では、痛みとその治療の捉え方が違うということは言えると思います。

■西洋医学と漢方
 痛みがあると西洋医学では、鎮痛薬、鎮痛補助薬、神経ブロック、手術、リハビリテーションなどが使われます。治ればいいのですが、本日のテーマの慢性痛ということになるとそうはいきません。西洋医学的なアプローチだけではむずかしいことは、お気づきのことと思います。なかなか治らないだけではなく、場合によってはその痛みを更に大きくしてしまうということも起こっています。こういう状況ですので、「私はどこへ行ったらいいの」という痛みの難民になっておられる方が大変多いのではないでしょうか?
 漢方では、痛みを単純に考えません。痛みを抱える方の性格にも目を向けます。真面目で気が小さく、心配性の方は「この痛みを抱えて私はどうなってしまうんだろう」と毎日考えます。のんびり屋さんだったらそうは考えません。神経質な方は、「また悪い病気を引き起こすのでは」とか考えてしまいます。次に体質にも配慮します。冷え性の方、汗かきの方、血流の悪い方、消化管の悪い方はたくさんいらっしゃいます。それと生活も重要です。季節の変化、忙しさ、周りの理解、職場・家庭の環境、こういうものが痛みを取り囲んでいるのではないかと漢方では考えます。
ですから、西洋の鎮痛剤、鎮痛補助薬だけで治療しようとしても効かない、届かないのですね。でも漢方は、性格・体質・生活に考えを及ぼし、それらの影響をなるべく少なくして痛みをとっていこうという戦略です。漢方で治療を行うと痛みがとれるだけでなく患者さんが非常に元気でハッピーになります。
 
■人間の痛みに対してのアプローチを
ぜひ、痛みがなかなか治らなかったら漢方治療を試していただきたいと思います。「痛み」は、神経や筋肉や骨が痛いというだけではありません。ここにお集まりの方はすでにご存じだと思いますが、その人の体質、性格、生活、・・これまで抱えてきた歴史、現在の状況、将来に対する不安・・つまり人生といってもいいかもしれない、そういったもの全部含めてその方の「痛み」と捉える必要があります。そこに注目しないで慢性痛がとれるはずはありません。いろんな治療指針が出ていますが、そういったところにまで考えを及ぼしたものを私はまだ見ておりません。
ぜひ、日本の慢性痛治療が、人間の痛みに対してアプローチできるような形になってほしいと願っています。本日の企画はそのためにしました。
 
■最後に、漢方についての誤解を解く
最後に、漢方についてよくある誤解について話します。「漢方は長く飲まないと効かない」と皆さん言いますが、そんなことはありません。先ほど示したように早い人は二三日で効きます。「副作用がない」というのも嘘ですので注意が必要です。「漢方は高い」という人がいますが、幸いなことに日本では、保険適応になっており安く使うことができます。
 
 


※これは、各講演者の皆様のご講演をお聞きした内容を事務局(若園)が理解した範囲で文書化したものです。従って、ご本人の意図と違う内容になっている場合もあることをご理解の上お読みいただきますようお願いいたします。尚、この文書の一切の責任は、事務局にあります。

《他の講演などへのリンク》
主催者挨拶「その痛みをあきらめないために相互に連携を」
難治性疼痛患者支援協会ぐっどばいペイン代表理事  若園 和朗


講演① 「患者だからできること~慢性痛マネジメントの為のリハビリ生活とヨーガ~」
YOGINI ヨガと子供未来教室代表  新里 美帆


講演② 「暮らしの中の東洋医学 ~こころと体を調え、痛みを和らげる鍼灸~」
真央クリニック附属鍼灸室室長、長湯鍼灸院院長  成田 響太


講演③ 「慢性痛に対する遠絡療法の可能性」
国際医療福祉大学副学長、九州地区生涯教育センター長 外 須美夫


講演④ 「痛みと筋膜」
トリガーポイント研究所所長  佐藤 恒士


講演⑤ 「痛みに漢方治療を!」
平田ペインクリニック院長  平田 道彦



令和元年11月23日(祝)
どげんかせんといかん日本の慢性痛治療 ~その痛みをあきらめないために相互に連携を~
内容報告

《講演④》痛みと筋膜

   トリガーポイント研究所所長 佐藤恒士

 

痛みの改善には、栄養・運動・心理が大切で、特に栄養のバランスがとれていないと本当に痛みは治りにくいと感じています。今日は、痛みと筋膜というテーマでお話しをします。

筋筋膜性疼痛症候群の概念は、ケネディ大統領の主治医であったトラベルさんという方が提唱しました。その論文の中で「慢性的な痛みを持っている患者のほぼ半分は永続的な回復を得るためにビタミン不足の問題を解決する必要がある」「自覚されていないビタミン欠乏症の罹患率は異常に高い」と述べています。

これから、痛みと筋膜について話していきますが、運動の面では筋のバランスということでお話ししたいと思っています。私たちは、生まれてこの方いろんな歩き方とか体の使い方のくせを持っています。くせを持っているということはいつも使われているところと使われていないところがあるということになります。そういったところから筋肉や筋膜のバランスが悪くなって痛みが治りにくくなっているという面があるということも話していきたいと思います。

 

栄養運動心理の三つが整っていてもなかなか治りにくくなっているので治療をして補っていくという考え方だと思います。

 

■トリガーポイントとは

まず、トリガーポイントとは何かというお話をさせていただきます。トリガーポイントとは、Wikipediaによると

     圧迫や針の刺入、加熱または冷却などによって関連域に関連痛を引き起こす体表上の部位のことである

     トリガーポイントの留意点としては、疼痛を自覚している部位に多くは存在するけれども、かけ離れた部位に見いだされることもある点である。

トリガーポイントの成因に関しては不明な点もあるが、筋肉を損傷したり酷使したりすることにより生じた筋拘縮が主因であると考えられている。・・とされています。

 

では、いくつかトリガーポイントが起こす痛みの例をみてもらいたいと思います。

腸肋筋という背中側にある筋肉では、骨盤の上の縁辺りにトリガーポイントができるとお尻のあたりに痛みを感じます。お尻が痛いのでシップを貼ったりマッサージしたりしますが治らず、トリガーポイントのところを指圧したりするとお尻の痛みが治るということがあります。

腸腰筋というお腹側にある筋肉の鼠径部などにトリガーポイントができると背中の腰椎付近に痛みが出ます。腰が痛いということになりますが、原因は実はお腹側にありますのでそこを治療しないと腰の痛みが治らないということです。なんで関連痛が起きているのかというのは、諸説がありはっきりしたことは分かっていません。

ヒラメ筋のトリガーポイントは、痛みを遠くまで飛ばします。ヒラメ筋にトリガーポイントができると頬っぺたに痛みを感じたり、噛み合わせができなくなったりもします。頬を指圧しても治りません。ヒラメ筋のトリガーポイントを指圧すると頬の痛みが消えたり、口の開きが良くなったりします。なんでこんなところに痛みが飛んでいくのかということですが、筋膜ライン上で起きているという仮説があります。体を使うのに都合の良いライン上で痛みが起きているのではないかということです。つまり、ヒラメ筋と頬の筋膜ラインに情報交換システムがありそのために起きていると考えると理解しやすいです。

残念ながら、この関連痛という現象は世間に理解されていません。ですから、痛いところだけに治療が往々にしてなされており、そのために痛みが治らず慢性化して困っていらっしゃる方がたくさんおられると思います。

筋膜ラインは、経絡とよく似ています。洋の東西で同じような見方をしているのではないかとも考えています。

 

■症例①

40代男性。月に数回、鉄の輪で締め付けられるような強烈な頭痛があって仕事に行けない日もあって辛い。触診をすると側頭部に強いコリがあり、そこを指圧しても一向に弛もうとしません。高校生の時。酷い足首のねん挫を経験しており今も痛むことがあるとのこと。そこで、腓骨筋を弛めると側頭部が柔らかくなり、頭痛が改善しました。

 

■症例②

40代女性。数か月前から腕が挙がらなくなり、様々な治療を受けたが改善せず、1週間前から夜に疼いて眠れなくなりました。触診をしたら首の付け根辺りと横隔膜に強い緊張がありました。そこで、横隔膜は体の内圧を調整している重要な器官といわれます。横隔膜の堅さが上半身の緊張を生んでいるので、横隔膜を中心に「深前線」をマッサージしていくと夜に疼くことがなくなりました。

 

■運動療法

次に、運動療法についてお話ししたいと思います。私たちは幼少期からいつの間にか体の使い方を学習しています。それが異常な運動パターンとなり、ある筋の活動低下と別の筋の活動過剰という運動のアンバランスを生じさせ、いろいろな障害に結びつくことがあります。それを修正するためには、脳に正しい運動パターンを再学習させるということが運動療法の大きな視点かなあと思っています。

 

■症例③

運動療法で治療させていただいたのが症例3です。30代女性。首や肩のこりが激しく、吐き気を伴うこともあります。営業もされていてストレスも多い。背中が丸まって、いわゆる猫背状態で見た目にもいかにも肩がこるなあという感じ。胸側の筋肉が過剰に緊張し、背中の筋肉は伸びて力が出なくなっていることが分かります。股関節の動きを診てみると、外側には過剰に動き、内側には動きにくい状態でした。これは、お腹側の筋肉(腸腰筋)が緊張し過ぎて、逆に背中側の筋肉(起立筋)が弱って力がでていない状態を示しています。これらの筋肉のバランスをとると自然と姿勢が良くなってきます。普段使ってない筋肉を使うことでバランスがその場で良くなります。しかし、それは一時的でしかないので、一か月くらい今まで使ってないところを使わせることで、脳に再学習させる必要があります。

 

■まとめ

まとめです。

     痛みを改善するためには「栄養」「運動」「心理」が重要。特にタンパク質、ビタミン、ミネラル不足は慢性化の要因。

     痛む所に原因がない「関連痛」という現象があり、それを理解することで、改善率は大幅にアップする。

     「関連痛」は筋膜ラインで起きていることが多いと思われるので、筋膜ラインへのアプローチが重要。

     体の奥深くを支えている「深前線」は姿勢筋であると共に、内圧に関係している「横隔膜」を構成しているので、様々な症状において深前線の調整は必須。

運動パターンは、機能障害を起こす最も大きな要因であり、脳の学習と関係しているため、運動パターンの修正と再学習のセルフケアは、永続的な改善に繋がると思っています。

 

ご清聴ありがとうございます。



※これは、各講演者の皆様のご講演をお聞きした内容を事務局(若園)が理解した範囲で文書化したものです。従って、ご本人の意図と違う内容になっている場合もあることをご理解の上お読みいただきますようお願いいたします。尚、この文書の一切の責任は、事務局にあります。

《他の講演などへのリンク》
主催者挨拶「その痛みをあきらめないために相互に連携を」
難治性疼痛患者支援協会ぐっどばいペイン代表理事  若園 和朗


講演① 「患者だからできること~慢性痛マネジメントの為のリハビリ生活とヨーガ~」
YOGINI ヨガと子供未来教室代表  新里 美帆


講演② 「暮らしの中の東洋医学 ~こころと体を調え、痛みを和らげる鍼灸~」
真央クリニック附属鍼灸室室長、長湯鍼灸院院長  成田 響太


講演③ 「慢性痛に対する遠絡療法の可能性」
国際医療福祉大学副学長、九州地区生涯教育センター長 外 須美夫


講演④ 「痛みと筋膜」
トリガーポイント研究所所長  佐藤 恒士


講演⑤ 「痛みに漢方治療を!」
平田ペインクリニック院長  平田 道彦

 どげんかせんといかん日本の慢性痛治療
   ~その痛みをあきらめないために相互に連携を~
疼痛ゼロの日福岡感謝

 令和元年11月23日(祝)、JR吉塚駅にほど近い「福岡県中小企業振興センター ホールA」にて百名を超える参加者を得て充実した内容のシンポジウムとなりました。遅れているわが国の慢性痛に対する医療の方向性を示す大きな一歩になったと自負しています。それぞれの講演などの内容は以下の通りです。
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◎主催者挨拶「その痛みをあきらめないために相互に連携を」
  難治性疼痛患者支援協会ぐっどばいペイン代表理事  若園 和朗

 急性痛と慢性痛の違いや、現在作業が行われている国際疾病分類改定に慢性痛が独立した疾患として記述されることなどについて話しました。

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◎講演① 「患者だからできること~慢性痛マネジメントの為のリハビリ生活とヨーガ~」
YOGINI ヨガと子供未来教室代表  新里 美帆

 患者当事者としての経験から、回復に役立ったポイントやその為に行た古典ヨガの説明、そして痛みの感じ方は学習、教育によって変わること、包括的な治療ができる体制づくりの必要性が述べられました。

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◎講演② 「暮らしの中の東洋医学 ~こころと体を調え、痛みを和らげる鍼灸~」
真央クリニック附属鍼灸室室長、長湯鍼灸院院長  成田 響太

 慢性痛治療の基本は、適切な食事、運動、睡眠、メンタルマネージメントで、日々の暮らしの中に、原因とその解決策があること、心と体のつながり、西洋医学と東洋医学など様々な治療法を連携させる事への期待などが症例報告と共に語られました。


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◎講演③ 「慢性痛に対する遠絡療法の可能性」
国際医療福祉大学副学長、九州地区生涯教育センター長 外 須美夫

 慢性痛の発生メカニズムの説明と、慢性痛の治療には患者さんを支える優しい医療が大切であること、その治療戦略として「生活のゆがみを調える」ことや「脳科学で脳内のゆがみを調える」ことが考えられ、「遠絡」も戦略の一つとして紹介されました。



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◎講演④ 「痛みと筋膜」
トリガーポイント研究所所長  佐藤 恒士

 痛みを改善するためには「栄養」「運動」「心理」が重要であること、痛む所に原因がない「関連痛」という現象がありそれを理解することで改善率が大幅にアップすること、運動パターンの修正と再学習のセルフケアは、永続的な改善に繋がることなどが症例報告を通して説明されました。



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◎講演⑤ 「痛みに漢方治療を!」
平田ペインクリニック院長  平田 道彦

 「痛み」は、神経や筋肉や骨が痛いというだけではなく、その人の体質、性格、生活、これまでの歴史、現在の状況、将来に対する不安など全部含めてその人の「痛み」と捉える必要があり、そうした面での治療に漢方が有効であることを症例を通して主張されました。

疼痛ゼロの日シンポジウム2019 in 福岡 
令和元年11月23日(祝)
どげんかせんといかん日本の慢性痛治療 ~その痛みをあきらめないために相互に連携を~
内容報告


《講演③》慢性痛に対する遠絡療法の可能性

国際医療福祉大学副学長 九州地区生涯教育センター長 
外須美夫

 

私は、慢性痛の治療に携わっています。そして遠絡療法をやるようになって、今は遠絡療法中心の外来をしています。遠絡療法と言っても初めて聞く方が多いと思います。今日は、遠絡療法とは何かということを皆さんにお伝えしたいと思います。

 

■やっかいな痛み慢性痛

ちょうど、今年の7月にテレビで「やっかいな痛み慢性痛」という番組が放送されましたのでまずは観てください。

・・「痛み、それは危険を知らせる信号です。通常は、その危険が解消されればその痛みはなくなります。ところが、特に異常が見つからなくても痛むのが慢性痛。慢性痛は、60歳以上の4人に一人が抱えていると言われていて生活習慣病に匹敵するほど社会にまん延しているのです。全国で230万人が重症の慢性痛に苦しんでいるのに、きちんと治療を受けているのは3分の1・・」

・・「一般的に慢性の痛みというのは、痛みが数か月以上続く・・そういう痛みを慢性痛と言っています。そんな慢性痛の中でも特につらいのが神経障害性疼痛です。神経が障害を受けたあとの痛みで、代表的なものとして帯状疱疹後神経痛、脳卒中の後の後遺症。そういう患者さんは痛みをずっと抱えておられます。なぜ、痛みが長く続くのかというと、神経が傷害されたあと、脊髄や脳でいろんな変化・変容が起こり痛みを感じやすい、痛みに過敏な状態が作られてしまうからだと説明されることがあります。」・・という形で番組は始まりました。

 

■患者を支える優しい医療

今日は慢性痛がテーマです。慢性痛にどう対処したらよいかということで、日本ペインクリニック学会など疼痛治療に関わっているいろんな方々が集まって「慢性疼痛治療ガイドライン」が作られました。あるいは、腰痛ガイドラインとか、いろいろな学会がガイドラインを作ります。これらはエビデンスに基づいて作られています。

ですが今日紹介する遠絡療法はそれらには載っていません。ただ、患者さんにとって良い治療とは患者さんにとって優しく副作用の少ない、患者さんを支えながら効果をあげていくものも大切なのではないかと思い私は遠絡療法に取り組んでいます。

 

■生活のゆがみを調えるという戦略

慢性痛の対処としていくつかの戦略がありますが、まずは、慢性痛は心身のゆがみからきているのでそれを調えるため、「日常生活のゆがみを調整する」という戦略があります。

     食事のゆがみを調えるには、過食偏食を無くす。抗炎症食を選ぶなどをしていきます。

     自律神経のゆがみを調えるために、緊張やストレスを軽減し副交感神経を優位にしていく必要があります。

     骨筋肉のゆがみを調えるには、姿勢、服装、靴、まくらなどに気を付けたり、ストレッチしたりマッサージや整体、体操などを利用したりすると良いかもしれません。

     心のゆがみを調えるとは、例えば怒り妬み執着などを消していくことです。

     運動は、痛みの特効薬と言われます。痛みが強いと運動は困難かもしれませんが目標として運動を取り入れていくことが大事です。

 

■脳科学で脳内のゆがみを調えるという戦略

二番目には、痛みは脳で最終的に感知し、意識し、認識するので、「脳科学」に注目していくという戦略があります。医学・科学などの進歩で、脳神経系の働きが手に取るようにわかるようになってきて、痛みの仕組みも画像でわかるようになってきています。急性痛と慢性痛の違いについても、けがや手術直後の痛みである急性痛では、僅かに5%しか脳神経が活動(発火)していません。しかし慢性痛の患者さんでは、そのおよそ41525%と広範囲の脳が活動していることが分かっています。慢性痛は、痛みを感じることで、どんどん「いやだなあ」という感情などが複雑に絡み合って活性化して、過敏な状態を作っていくと言われています。

では、そうしたゆがんだ状態にならないようにするにはどうしたらよいかというと、まずは、脳に痛みの信号が入ってこないようにすることが考えられます。神経ブロック、抗炎症薬が効いて痛みが和らげば良いわけです。また、鎮痛補助薬といって脊髄レベルで入ってくるのを抑える薬もあります。しかし、こうした薬が痛みを感じる神経だけに働いてくれればいいのですが、脳の中でせっかく治そうとしている力を、別の力でゆがめてしまうことがあるので要注意です。ですから、例えばオピオイドには、もちろん強い鎮痛作用がありますが、脳の中でいろいろな(悪い)働きもしてしまうので慢性痛に使うのは難しいのです。

 

また、痛みの情報が入ると脳のいろいろな部分が活性化しますのでそれぞれの部分を調整することが大切かもしれません。

「前頭前野」の調整には、「痛いから何もできない」ということに縛られずに、「これならできる、こうすればできる」という捉え方に変えていく、認知行動療法の手法が有効でしょう。

また、「運動野」を調整して痛いところが動かせるというイメージをもたせる。そのための鏡を使った鏡療法は、すでに行われています。

「前帯状回」の調整は、ストレスをコントロールし陽性期待感が持てるようにすることです。

「側坐核」は報酬を受けると活性化するのですが、慢性痛の患者さんはここの機能が低下しているので楽しみや希望を持つことによって報酬系が活性化し側坐核の働きを良くしていきます。このように、脳科学をうまく使って慢性痛を治療していくという戦略が考えられます。

 

■遠絡という戦略

今日ご紹介する戦略は、遠絡療法です。西洋医学は、目に見えるものを対象としますが、東洋医学は見えないもの動いているもの、出来事を対象にします。漢方薬は体の内側から、鍼灸療法は体の外側から血液の流れ、水の流れ、気の流れを調えてあげる、それによって慢性痛を良くしようという方法です。その中でも私たちはツボ押しの一つとして遠絡療法という治療法を行っています。「遠絡」つまり、遠くを連絡させるという方法です。いわゆる東洋医学的な経絡理論に沿っているのですが、痛いところには触らずそこから離れたところを刺激することによって痛いところに起きている流れの障害をとってあげて痛みを解決していく、そういうような考え方です。

遠絡療法は、「柯尚志(こう・しょうし/Shan Chi Ko)」先生が開発されたものです。20034年ころ始められました。経絡には流れがありますがその流れが滞ると痛みが起こります。痛みがある場所を流そうとするが流れない。でも経絡に沿って別の場所につなげば流れるという考え方です。では、何が流れているのかというと「気」の流れですが・・柯先生は、「Life:命の流れ」と言っていました。初めは信じられなかったので、ある治りにくい痛みの患者さんを治すことができたら信じようと考え遠絡治療をしたのですが、見事にその患者さんの痛みがとれました。痛みだけではなく手足の血管の状態、器質的な改善もみられました。それで私もびっくりして、その治療を患者さんに施すようになり、学会などで発表もするようになりました。遠絡療法の特徴は、少しの勉強だけでだれにでもできるようになるということです。

 

■番組の続きを観てみましょう

・・「生活習慣病に匹敵するほど社会にまん延している慢性痛。その治療の基本的な考え方は、たとえ痛みが完治できないとしても日常生活に支障をきたさないようにすることです。そのためには薬物療法だけでなくリハビリテーションや心理療法、東洋医学などあらゆる治療法を駆使して行う必要があります。」・・

・・「遠絡は、新しく日本で生まれた東洋医学と西洋医学をミックスしたような療法です。手法としてはツボ押しです。ただ、鍼とか灸とかは使いません。遠絡療法では、普通専用の棒を使いますが、今回は赤外線のレーザーを使います。ツボにレーザーをあてます。「気」を動かしていく道具としてこのレーザーを使います。これを使うと患者さん自身はなにも感じません。」・・

・・「遠絡療法には、副作用がないのでお年寄りや子供にも安心して使えます。しかも、治療後すぐに効果を実感する人も少なくないそうです。」・・

 

■まとめ

遠絡療法は、難治性の痛みをもった方で標準的な治療では効果がなかった人に対して一つの選択肢としてためしてみてもいい治療ではないかと思います。

漢方薬、鍼灸、ヨガなど慢性痛に対してはいろいろなアプローチがあります。また、私の治療で治らない患者さんもいるということも知っておいていただきたいと思います。

 ご清聴ありがとうございました。

※これは、各講演者の皆様のご講演をお聞きした内容を事務局(若園)が理解した範囲で文書化したものです。従って、ご本人の意図と違う内容になっている場合もあることをご理解の上お読みいただきますようお願いいたします。尚、この文書の一切の責任は、事務局にあります。

《他の講演などへのリンク》
主催者挨拶「その痛みをあきらめないために相互に連携を」
難治性疼痛患者支援協会ぐっどばいペイン代表理事  若園 和朗


講演① 「患者だからできること~慢性痛マネジメントの為のリハビリ生活とヨーガ~」
YOGINI ヨガと子供未来教室代表  新里 美帆


講演② 「暮らしの中の東洋医学 ~こころと体を調え、痛みを和らげる鍼灸~」
真央クリニック附属鍼灸室室長、長湯鍼灸院院長  成田 響太


講演③ 「慢性痛に対する遠絡療法の可能性」
国際医療福祉大学副学長、九州地区生涯教育センター長 外 須美夫


講演④ 「痛みと筋膜」
トリガーポイント研究所所長  佐藤 恒士


講演⑤ 「痛みに漢方治療を!」
平田ペインクリニック院長  平田 道彦

 

 

令和元年11月23日(祝)
どげんかせんといかん日本の慢性痛治療 ~その痛みをあきらめないために相互に連携を~
内容報告


《講演②》暮らしの中の東洋医学
   ~こころと体を調え、痛みを和らげる鍼灸~

 真央クリニック附属鍼灸室長 長湯鍼灸院院長 成田響太

   

本日は、鍼灸の治療の様子をお伝えすることで、会場におられるみなさまが何かを感じ「こんな世界もあるのだな」と感じていただければと思いお話させていただきます。慢性痛の治療の基本は、適切な食事、運動、睡眠、メンタルマネージメントです。日々の暮らしの中に、原因とその解決策があることが多いと思います。

 

■時代は変わる

ところで、サザエさんに出てくる磯野波平さんの年齢はいくつだと思いますか。54歳です。みなさんの想像よりかなり若いと思います。この50年で50代の男性と、そしてもちろん女性も印象が変わりました。時代は変化します。新しい考え方、生き方が必要かなと思います。人生100年時代になり、それに応じた体のメンテナンスが必要です。慢性痛の考え方も昔とずいぶん変わってきました。

 

私は、鍼灸師、あん摩マッサージ師、指圧師です。私は、鍼灸師として20年間病院やクリニックで働いてきました。以前の職業はサッカーのコーチです。清水エスパルスでコーチをしていました。エスパルスでは、食事指導もしていました。東洋医学でも、鍼灸・漢方薬だけでなく、薬膳も大切にされていますよね。

 

■鍼は怖くない、お灸は熱くない

鍼を打っている風景を見てください。鍼が痛いと言われることはまずありません。でも、鍼をとても怖がる人に、鍼は打ちません。お灸やマッサージで対応します。次はお灸の様子です。ヨモギの葉っぱの裏のふさふさしたものを使います。お灸の熱さは、患者さんの感受性によって変えています。ですから熱くて苦痛だということは、まずないと考えてもらっていいです。

 

■症例①鍼灸の速効性1

ところで慢性痛に鍼は効くのか、実際の患者さんについて話したいと思います。一人目は、30代男性で3か月前からの腰痛。嘉手納基地の軍関係者です。3つの整形外科で、シップ、痛み止め、注射、リハビリなどを行うが痛みが改善せず、一人で歩けないので奥様の肩を借りて、私の部屋までいらっしゃいました。痛すぎて最初の2週間は寝たきりだったといいます。骨は異常なし。下肢の症状もなしです。腰痛の場合、急性期から動いた方が治りは早いことが多いです。ですので腰痛になったら医師や鍼灸師に確認の上、動くようにした方がよいと思います。この男性は、この日15分くらいの治療で、帰りは1人で歩いて帰りました。この男性は、不眠の傾向が強かったので、沖縄の知り合いの医師にお願いして眠るための漢方薬も処方してもらい、不眠も快方に向かいました。

 

■症例②鍼灸の速効性2

この写真の女性も、私が沖縄に行ったときに、私の宿泊先まで訪れた嘉手納基地の軍関係者です。この方も腰痛でした。来るときはつらそうに歩いていましたが、治療後は颯爽と歩いて帰りました。私は琉球大学医学部で鍼灸の講義をしていますので、沖縄に行くことがあります。その時には宿泊先に患者さんが訪れるという流れが続いています。

 

■症例③自分と相性の合う鍼灸師の先生を見つける

70代の女性。40年前からの背部痛、そして全身に痛みがあるということです。一番つらいのは背中でした。あらゆる治療を受けたがよくならない。40年前、盲腸の手術をしてから痛くなりました。頭のてっぺんから足先まで(右側の膀胱経という経脈に沿った痛み)痛かったようで、医師から「人間そんな長い神経はない」「あなたの気のせいです」と言われたのがつらかったそうです。1度の鍼灸治療で「40年続いた痛みがとれました。鍼は不思議ですね。楽になれました。」と語りました。食事が、淡白だったので動物性たんぱく質を摂るようにアドバイスしています。水泳が好きだったということで新しい水着を買ってプールに行くことを提案しました。もちろん、最初は無理のない範囲で歩いたり動いたりするようアドバイスをしました。

 次は、この方の治療風景です。盲腸の手術痕の痛みをとるためにお腹にお灸をしています。この方は、これまで鍼灸での治療も試みていますがうまくいきませんでした。自分と相性の合う鍼灸師の先生を見つけるということも大切なのかもしれません。

 

■患者さんの背景に注目する

痛みがあるとどうしても動く時間が減ります。そうすると筋肉も落ちます。食欲もなくなります。体力も落ちます。その結果、さらに動かなくなるという悪循環が起こります。ですから適度な運動が大切です。そして、筋肉を増やすため、筋肉を落とさないためには、たんぱく質が必要です。適度な運動というのは、人によって全く違います。ひどく重篤な人は、まったく動けないこともあるでしょう。寝たきりの人が、足を3回上げるだけでも適度な運動になることもありますし、30分ジョギングできる人もいれば、2時間ジムで鍛える人もいます。人によって全く違うというのが重要なポイントです。ベッドの上でひたすら痛みと闘ってらっしゃる患者さんには、その人に合った刺激を提案しなくてはなりません。そのほかに家族関係や子供のこと、経済的な問題、難病、事故など様々なことで悩んでいらっしゃる患者さんは多いので、患者さんの背景に注目して向き合っていくことが大切になります。

 

■症例④東洋医学と西洋医学のバランス

ここまでの話を聞くと「西洋医学はダメ、東洋医学は素晴らしい!」と言っているように聞こえるかもしれませんが、そういうことはありません。西洋医学と東洋医学のバランスが大切だと考えています。私は、整形外科で6年働いていたので、優秀な整形外科医が見事に患者さんの痛みをとっていくところを何度も見ています。

このケース(50代 女性)は、整形外科では手指の変形性関節症と診断されていました。私が、初めて診た時に「専門の先生に診てもらった方がいいな」と思ったケースです。つまり「整形外科の疾患ではないな」と思ったわけです。その後、私が紹介したクリニックで診断された病名は、乾癬性関節炎でした。私が親しくしている膠原病に詳しい医師に紹介したケースです。西洋医学的治療に加え、鍼灸も継続しておこなった結果、数か月で手指の痛みは日常生活に支障のない範囲におさまっていきました。

私が乾癬性関節炎かと思っても、鍼灸師という立場上、患者さんに、その(西洋医学の)病名を告げることはありません。ただ、こういう病態なら、医師の力を借りた方がいいと思いました。そう考えたらすぐに医師に紹介状を書きます。

ところで鍼灸治療は何をしているのというと「気の流れを良くして心と体が正常に動くようにスイッチを入れている」ということになると思います。気の流れが滞ると痛みやストレスの閾値が下がる。つまり痛みやストレスを感じやすくなるということです。

 

■症例⑤肺癌には、消化器のフォロー?

次のケースは、71歳男性、左手の痺れを主訴に、医師からの紹介状で受診された方です。頚椎症性神経根症という病名がついています。一か月半前からの左頚部、左上肢の痛みなので2~3回目の鍼灸治療でよくなりました。やはり、経過が短い方が早く治ります。その後10年して娘さんからのお薦めで再び来院。食欲がなく、だんだん体重が減る。本人は「このまま癌で死ぬのではないか」と言っていました。肺癌のステージ4で。この時81歳でした。

横になっている時間が長いので、頚、肩、腰などに痛みが出るとその都度、鍼灸で痛みはとっています。この方は、骨転移はしていません。東洋医学では、食べられなくなると肺の病の症状が悪化すると捉えます。そこで、食べているものを聞いてみると、お粥とかそうめんとかあっさりしたものがいいということでした。これでは全く栄養不足です。特にたんぱく質が不足しています。早く食欲が戻るよう鍼灸で消化器の治療をしました。そして、少しずつでよいのでたんぱく質を摂るようアドバイスしました。すると、食事がおいしく食べられるようになって体重が増えてきました。このときの問題は、癌そのものより栄養不足だったのかもしれません。随分元気になられました。

 

■症例⑥便秘の治療が功を奏した例

最後は、50代女性。40年前から続く頭痛。頚肩の痛み、コリがひどくほぼ毎日痛み止めを服用。4年前からは頚肩の痛みが悪化。最近は、突発性難聴にもなり耳鳴りが継続している方です。治療のポイントは便秘の治療。便秘が改善することで体の上部にこもった熱が下がり、頭痛、頚肩の痛み、高血圧の症状が和らぎました。この時、9種類の薬を服用していたのですが、その後、降圧剤1つだけに減りました。それも降圧剤は以前の半分に減りました。運動習慣がなかったのでウォーキングや筋トレをお勧めしました。ヨガを提案することもあります。ヨガもマイルドで体に無理のないものから入るとよいと思います。私も大分で何人ものヨガインストラクターとつながっていて、患者さんにヨガのインストラクターさんを紹介することもあります。この患者さんは「痛みで気分が鬱々としてしまう」「一番の気分転換はお友達とのカフェ」と言うので「カフェに週1回は行きましょう!」と具体的にアドバイスしました。

大分で、医師・医療者向けの東洋医学勉強合宿をやっているのですが、プログラムに必ずヨガを入れています。

 

■鍼への期待

時代は変わってきています。新しい時代のハイブリッドな医療。西洋医学×東洋医学、そのほかの様々な治療法を連携させる時代に来ています。東洋医学を学びたいという若い医師・医学生がとても多くなっています。

癌患者さんに対するケアでは。鍼やヨガ、瞑想などが医療の分野に入ってきています。特にアメリカでは、麻薬系の鎮痛剤の副作用の問題から鍼への関心がとても高まっています。

鍼灸の良いところの一つに、患者さんと長い時間関わることができるという点があります。患者さんが、なかなか言えなかったことを、私たち鍼灸師が聞き出せるということがあります。素敵な鍼灸師の見つけ方として「必ず治ります」と言うところには行かない方が良いと思います。通いやすい距離にあることも大事です。

 

■まとめ

今日のまとめですが大切なのは、適切な食事、運動、睡眠、メンタルマネージメントです。つまり日々の暮らし方が大切です。“適切”というのがポイントで、頑張りすぎる人には「あまり動かないでください」と言わなければなりません。東洋医学では、慢性痛は心≒脳の問題と考えています。心の緊張が筋肉のこわばりにつながっているというのが一般的なパターンです。

鍼灸に興味を持った方は、お近くの鍼灸院に行ってみましょう。ご自分のための小さな一歩を踏み出してみましょう。

※これは、各講演者の皆様のご講演をお聞きした内容を事務局(若園)が理解した範囲で文書化したものです。従って、ご本人の意図と違う内容になっている場合もあることをご理解の上お読みいただきますようお願いいたします。尚、この文書の一切の責任は、事務局にあります。

《他の講演などへのリンク》
主催者挨拶「その痛みをあきらめないために相互に連携を」
難治性疼痛患者支援協会ぐっどばいペイン代表理事  若園 和朗


講演① 「患者だからできること~慢性痛マネジメントの為のリハビリ生活とヨーガ~」
YOGINI ヨガと子供未来教室代表  新里 美帆


講演② 「暮らしの中の東洋医学 ~こころと体を調え、痛みを和らげる鍼灸~」
真央クリニック附属鍼灸室室長、長湯鍼灸院院長  成田 響太


講演③ 「慢性痛に対する遠絡療法の可能性」
国際医療福祉大学副学長、九州地区生涯教育センター長 外 須美夫


講演④ 「痛みと筋膜」
トリガーポイント研究所所長  佐藤 恒士


講演⑤ 「痛みに漢方治療を!」
平田ペインクリニック院長  平田 道彦

 


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