海外で、難病の治療に効果があるとされ使われている薬を、その治療のため、わが国で使用すると、医者も患者も懲役刑をもって罰せられることがあることをご存知だろうか?その薬とは、「大麻」と、それから作られる医薬品である。
 そのことを知人に話しても納得してもらえないことが多い。「麻薬だって、医者の処方があれば使えるんでしょ?」といわれてしまう。
 麻薬(本来の用字は痲薬)とは、狭い意味ではアヘン剤のことを指す。アヘン剤とは、モルヒネ、ヘロイン、コデインなど、ケシの実から抽出される薬剤のことであり、大麻は全く別物である。
 アヘン剤は、「アヘン戦争」に象徴されるように、乱用すれば個人だけでなく社会をも崩壊させかねない危険な薬物と広く理解されている。しかし、その反面、医薬品としての価値も古くから認められている。そのため、わが国では、「あへん法」により、医薬品としての適正使用を求めている。
【参考 http://www.lawdata.org/law/htmldata/S29/S29HO071.html
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あへん法 第一条 (目的)  
 この法律は、医療及び学術研究の用に供するあへんの供給の適正を図るため、国があへんの輸入、輸出、収納及び売渡を行い、あわせて、けしの栽培並びにあへん及びけしがらの譲渡、譲受、所持等について必要な取締を行うことを目的とする。
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 大麻は、「大麻取締法、第四条の二・三項」により、病気の治療に使うことを完全に禁止されている。
---大麻取締法(抄)-------------------
第一章 総則
第一条
  この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。
第三条
  大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。
2 この法律の規定により大麻を所持することができる者は、大麻をその所持する目的以外の目的に使用してはならない。
第四条
  何人も次に掲げる行為をしてはならない。
一 大麻を輸入し、又は輸出すること(大麻研究者が、厚生労働大臣の許可を受けて、大麻を輸入し、又は輸出する場合を除く。)。
二 大麻から製造された医薬品を施用し、又は施用のため交付すること。
三 大麻から製造された医薬品の施用を受けること。
【参考  http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO124.html 】
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 この法律は、かなりヘンだと思う人が多いのではないだろうか?日本人なら大半の人が、たとえ危険な薬物であっても医師の管理の下、病気の治療になら使っていいと考えているに違いない。
 私の妻は、脊髄障害性疼痛症候群という難病がもたらす、絶え間無く激しい疼痛に苦しんでいる。この痛みには、麻薬性のものを含め、いわゆる鎮痛薬は効果がないか、あるいはほとんど無いことが確かめられている。しかし、大麻の薬効成分はその痛みにも有効であるとされる。
 従来、諸外国でも、医療大麻は禁止されていたようだが、近年の医学の進歩に伴い、解禁する国が増えてきた。しかし、わが国では、議論さえ始まっていない。
 多くの国民が、この真実を知り、そして問題意識をもち、今後のわが国の医療のあり方について考えてほしい。
 痛みに苦しむ人たちの痛みが少しでも和らぎ、より豊かな人生が送れるよう、祈らずにはいられない。
 
【こちらもご覧下さい】 http://www006.upp.so-net.ne.jp/wakasama/
脊髄損傷後の難治性疼痛について→ http://www006.upp.so-net.ne.jp/wakasama/itami/
みんなで考えよう医療大麻問題→ http://www006.upp.so-net.ne.jp/wakasama/taima/index.htm