故マイケル・ジャクソンさんの元専属医師が過失致死の罪に問われている裁判が3日に結審したそうです。
 
 私は、この裁判をとても注目しています。なぜなら、この事件の本質は、痛みやその治療の問題だと考えているからです。
 亡くなった当初の報道は、ジャクソンさんは、「痛み」を患っており、その治療の失敗により死に至ったとういう内容だったと思います。
その後、単なる薬物乱用、幼少期に受けた虐待による心の傷、などといろいろ言われるようになりましたが、当初の報道が、真実に近いと私は思っています。
 皆さんは、どう思われますか。
 
 
 「痛い=動けない」ではありません
 
 痛いなら、映画「This is it」で見せているような、素晴らしい活動はできないんじゃないかと思われるかもしれません。
 しかし、「痛い=動けない」ではありません。 「麻痺=動けない」は間違いないことですが、「痛み=動きづらい」でしかありません。
 
 スポーツの世界などでは、骨折や肉離れなどで「痛み」をこらえ、目的を成し遂げることが、しばしば美談として賞賛されます。
 そうです。たとえ激痛を抱えていたとしても、人はやらねばならぬときには、やることができるのです。
 
 理解してもらえない痛み 

骨折や肉離れによる痛みは、誰の目にも明らかな痛みの原因があります。これらは、その傷が治れば痛みも消えていきます。
 しかし、原因のわからない痛みは、気のせいとか精神的な病気、怠け、嘘などと見られがちです。なので、患者は黙ってしまうことが多いのです。しかも、そんな痛みは、不思議なことに、なかなか治らず、痛み止めも効かなかったり効きにくかったりする場合がほとんどです。
マイケルジャクソンさんも、このような難治性疼痛を抱えていたのではないでしょうか?しかも、危険な麻酔薬の力でも借りたくなるような激しい痛みを・・・。
 
  孤独な闘い
 
 私たちの患者会の仲間の多くは、激しい痛みを抱えています。それでも、職業に就いたり、家事をこなしたり、日常生活を保っている患者さんもいます。
そのほとんどが、聞かれない限り、場合によっては聞かれても人前では、痛いとは言いません。言っても解ってもらえない、言ってもしょうがないからです。
 
 痛みがあると、仕事も遊びも辛いものになります。骨折や捻挫なら、休養することで、治るのが早くなり、痛みが消えると共に、活動もしやすくなります。
 私たちの仲間の痛みは、残念ながら今の医学では解明されていません。
 
 なので、いくら休養しても、どんな治療をしても、その苦しみから逃れることはできません。
  しかし、そんな患者も、誰もが願うのと同じように、他人の役に立ちたいとか、自己実現したいとか・・・痛みに邪魔されず、より良い充実した人生にしたいと願い懸命に生きています。
 だから、痛くても何とかして、動こうとします。仲間の中には、痛みを口にしたら仕事がクビになるかもしれないので絶対言わないという人もいます。

痛みを隠しながら、多くの難治性疼痛患者は、孤独な闘いを続けているのです。
  
 痛みそのもので、死ぬことはありません。でも、治療のための薬で死ぬことがあります。
 
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また、痛みだけでも辛いですが、そんな患者の多くが理解されないという、苦しみまで背負っていることを知ってほしいと思います。
 
 
 願い
 
 医学が進歩し、痛みに苦しむ人々の痛みが少しでも和らぎますように。

それが叶わぬのであれば、 痛みに苦しむ人たちの気持ちや立場が理解され、少しでも生き易い社会となりますように。
 

【全国脊髄損傷後疼痛患者の会】 http://www006.upp.so-net.ne.jp/wakasama/sst/
【痛み医療に対する国家的取り組みを】  http://www006.upp.so-net.ne.jp/wakasama/itami/torikumi.htm