【写真は桜で、話は日本の麻について】

 今の日本で大麻(アサ:麻:Cannabis)といえば乱用薬物のイメージが強いですが、戦前までは乱用されることなく普通の作物として盛んに栽培されていました。
 それもそのはず、日本在来のアサは、その成分から見て乱用される可能性が低いのです。
 私たちは、乱用防止のための品種管理などの手立てを確立した上でアサ栽培の再興を果たすための活動をしています。
 
《イメージが悪いアサ》
 アサ(大麻)はかつて、わが国の貴重な作物の一つで、繊維や食料、燃料など様々な用途に活用されてきました。
 ところが戦後間もなく、進駐軍の意向で大麻栽培禁止の施策がなされたことをきっかけに、乱用薬物として面のみ強調されるようになり、国民に悪いイメージが定着。アサについて語ることさえ、はばかられるような社会になってしまいました。 
 そのため、麻栽培農家は減少の一途。遺伝資源の保存や品種改良・栽培・活用のための技術開発も滞り、日本のアサは、絶滅の危機を迎えていると言っても過言ではありません。

《カナビスとヘンプ》
 しかし、1964年に濫用の原因となるのはTHCという物質であることが発見され、以来THCの含有率が少ないアサは無害であることが理解されるようになりました。そのため、多くの国では、環境に優しい循環型の資源としてアサの見直しをはじめ、THCの多いアサを有害な薬理型(カナビス)、THCの少ないアサを無害な繊維型(ヘンプ)などと区別して扱うように制度を整えてきました。

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《20年以上遅れる日本の対応》
 例えば、EU(欧州連合)では1990年代にTHC含有率に基づく安全規定を定め、現在EU圏内の農家は、フランス政府が指定した種子会社や農業試験場から種を入手すれば、特別なライセンスなどなくとも栽培できるようになっています。
 
 中国においては、2007年から軍の「漢麻資材研究センター」とアパレル業界のNo1の「ヤンガー・グループ」が出資して、漢麻産業投資控股有限公司を設立。2008年からTHC含有率による品種の管理をし産業に活用しています。
 わが国においては、アサという植物を厚生労働省 麻薬対策課が管轄する体制となっています。従って、遺伝資源の保護とかアサの産業利用という発想を持ち得ず現在に至っています。

《わが国の現状》
 わが国で、一般の栽培許可の対象となるのは、当局の指導により「伝統の継承などにどうしても必要な場合」のみ。また盗難防止のため見回り、監視カメラの設置などの重い負担が求められることが多いため栽培者は次第に撤退。全国で40名ほどに減っています。また、正式な栽培者は、盗難や評判の低下を恐れるため、困った状態になっても栽培していることを公にできない場合がほとんどです。
 逆に、マリファナ解放などを求める人々が、アサ濫用の合法化を求めることの踏み台として、産業大麻推進の情報をインターネットなどで盛んに喧伝しています。それは「大麻は得体のしれない恐ろしい物」という悪いイメージを一般国民が持つことに一役買っているかもしれません。


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