令和元年11月23日(祝)
どげんかせんといかん日本の慢性痛治療 ~その痛みをあきらめないために相互に連携を~
内容報告


《講演①》患者だからできること
    ~慢性痛マネジメントの為のリハビリ生活とヨーガ~

     YOGINIヨガと子供未来教室代表 新里美帆

   

 私は、線維筋痛症の元患者です。今日は、線維筋痛症の患者がこうして皆さんの前でお話しできるくらい回復した実体験をお話ししたいと思います。

疼痛ゼロの日福岡新里さん



 

■経緯

 私は、敏感で複雑な感性をもった体調の悪い子として母親の手を煩わせながら育ちました。そして2003年職場で具合が悪くなったのをきっかけにヨガを始めました。2006年に結婚、東京に引っ越し出産・育児がはじまりました。慣れない土地での子育て、また3.11の影響もありその辺りから病状が悪化してきました。 2011年広範性筋筋膜性疼痛、線維筋痛症と診断され、福岡に戻り、治療を開始し、その後2年ほどで寛解状態になり、今も寛解状態を保てています。

 

今、行っている活動は①ヨガの教室②子供のころから痛みや体の管理などが上手にできるようするための寺子屋③線維筋痛症のFacebookグループ「線維筋痛症とリハビリ生活」 の運営です。

 

痛みを和らげるため何をしたかというと①噛み合わせの治療≒顎関節症治療 ②リハビリ生活=生活の工夫とヨガです。

 

 顎関節症の治療は、福岡市の山田歯科医院で診ていただきました。山田歯科では、体の痛みを和らげることに特化した歯の(噛み合わせ)治療を受け、それは回復のための大きなきっかけになりました。(ただし現在、山田歯科医院で診療は行われていません)

 

■リハビリとヨガのポイント

リハビリとヨガで、元気になったポイントは、

①「明日のことは考えず、今どうするかだけを考えるようにし、治ると勝手に確信し、治せるのは自分だと決めて治すことに集中したこと」

②「心は、トレーニングすれば整えることができると考え、徹底的に痛みが出ない環境を設定し、心の調整をしたこと」

③「体に病気があっても心まで病ませないように、病気がわたしのすべてではないととらえ、心から病気を外す訓練をヨガによってやっていったこと」です。

 

■古典ヨガ

 ヨガにはいろいろな種類がありますが、私がしたのは「古典ヨガ」です。

 線維筋痛症の治療には、運動療法が必須と言われていますが、私の場合は、(病状が重篤だったので、)安静から初めて、こころのケア、そして状態が良くなってきて、徐々に運動療法を取り入れるようにしてきました。また、その日の状態に合わせて、一歩ずつ自分で治療を続けました。

 これらは、「古典ヨガ」の方法に基づいて行いました。具体的には①「呼吸」 ②「ポーズ」 ③「言葉」です。

     「呼吸」は、ゆっくりした腹式呼吸をすることで自律神経を整えます。呼吸は、寝たままでもできるリハビリです。

     「ポーズ」は、何をしているかというと、例えば指先の動きや感覚に意識を集中することで、過去の不満、未来への不安を薄め、心の平安を保つことに役立ちます。

     「言葉」は、言葉で過去の解釈を変えることで、いわゆる認知行動療法に似ています。明るい方向に解釈を変えて、そっちのほうを信じ込むようにしました。

 実際にやってみて、そして今も続けている結果、あらゆる痛みを和らげることに成功しています。

 

■痛みの感じ方は学習、教育によって変わる

 痛みの仕組みについてですが、痛みの感じ方は、人それぞれ学習、教育によって作られるのだと考えています。私は、痛みを過大視しすぎていたのかもしれません。痛みを恐ろしいものと感じすぎることで、未来の痛みまで過大に感じてしまうようになり、痛みがいっそう深刻になるというからくりが自分の意識とは別なところで起こり、私はそれに陥ってしまいました。

 ヨガによって脳を再教育すると自分の望んだことが体に起きやすくなります。痛みを自分で大きくしてしまう癖があった私は、痛みが大きくなりそうになった時に止めるということができるようになっていきました。瞑想の中でよいイメージを作り膨らませていけるようになり、何があってもよい方向に戻れるようになっていきました。ヨガのトレーニングは、心と体を良い方向にもっていくことができると感じています。

 誰でも、体が痛くなる瞬間があると思います。痛みが現れると、痛みに対して過剰に反応してしまいがちですが、痛みに近づかない、近づくことが避けられないならその原因に対して強くなれるように鍛えようとすることが大切です。

 明かり、におい、触れるもの、・・五感のすべてを大切に、環境を整えると同時に痛みは痛みでしかない、細かいことは気にしないと捉えることも必要です。古典ヨガは認知科学なのかもしれません。また、ペインは私の先生でもあるとも考えられるようになりました。ペインを知ることで、ペインを和らげることができます。

 

■包括的治療できる仕組みを

 慢性痛の治療には、包括的治療が必要です。そうした仕組みづくりができるよう、私なりに取り組んでいきたいと思います。

 古典ヨガは人間が抱える問題のすべてを解決できる壮大なシステムです。

 今、慢性痛に苦しんでいる皆さんには、治っている私たちをみて治るイメージをもってほしいと願っています。

※これは、各講演者の皆様のご講演をお聞きした内容を事務局(若園)が理解した範囲で文書化したものです。従って、ご本人の意図と違う内容になっている場合もあることをご理解の上お読みいただきますようお願いいたします。尚、この文書の一切の責任は、事務局にあります。

《他の講演などへのリンク》
主催者挨拶「その痛みをあきらめないために相互に連携を」
難治性疼痛患者支援協会ぐっどばいペイン代表理事  若園 和朗


講演① 「患者だからできること~慢性痛マネジメントの為のリハビリ生活とヨーガ~」
YOGINI ヨガと子供未来教室代表  新里 美帆


講演② 「暮らしの中の東洋医学 ~こころと体を調え、痛みを和らげる鍼灸~」
真央クリニック附属鍼灸室室長、長湯鍼灸院院長  成田 響太


講演③ 「慢性痛に対する遠絡療法の可能性」
国際医療福祉大学副学長、九州地区生涯教育センター長 外 須美夫


講演④ 「痛みと筋膜」
トリガーポイント研究所所長  佐藤 恒士


講演⑤ 「痛みに漢方治療を!」
平田ペインクリニック院長  平田 道彦