2012年01月

「医療大麻問題」を解決する上で最大の課題は、多くの国民が「大麻」と「痲薬」を同じ土俵で考えてしまうことにあります。「大麻」と「痲薬」は違うものです。規制している法律も違います。薬効も違います。それと同時に問題点も違います。

 私が中学生のとき、我が家の畑に大麻が自生しました。おまわりさんがやって来て、没収していきました。大麻が生えたということに対して、私は不安でしたが、両親は、なんとも思っていないようでした。
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 私たちの親より上の世代は、大麻を有用な作物として普通に栽培し、何の問題もなく安全に共存してきたのです。大麻に対して悪いイメージがもたれるようになったのは、終戦直後にできた大麻取締法のせいです。

 今では、多くの国民が、危険な薬物として大麻も痲薬も覚せい剤も、ごちゃ混ぜにして考え、わけがわからなくなっています。

 覚せい剤の乱用者が、錯乱して暴れることは時々報道されます。痲薬で死ぬこともよく聞きます。強烈な禁断症状が現れることも有名です。
 わたしの知り合いの患者さんの中にも、痲薬性鎮痛剤の使用限度を守らず昏睡状態になった方がいます。また、痛みの治療に使用し、効かないのでやめたら禁断症状が出て、離脱するまで壮絶な体験をしたという患者さんも知っています。

 では、大麻はどうでしょう?近年、濫用する人が多いと聞きますが、大麻が原因で凶悪犯罪を犯した人がいますか?死んだ人がいますか?大麻の禁断症状で、強烈に苦しんだという話を聞いたことがありますか?ご存知でしたら、ぜひ教えてください。
 私は、聞いたことがありません。もしかすると、大麻は、日本人一般がもつイメージより安全かもしれません。少なくとも、痲薬や覚せい剤より安全に思えます。

 大麻より「危険」な痲薬と覚せい剤は、薬として病気の治療などに使えることになっています。しかし、それより安全と考えられる大麻は「大麻取締法」により、医薬品として使用した場合、医者も患者も罰せられることになっています。(このことを信じない人が多いのです。信じられない人は、「大麻取締法」を読んで確かめてください。この法律を読まない限り「医療大麻問題」は意味がわかりません。)
 
 私の家内は、脊髄損傷による中枢痛(Centoral pain)という痛みに苦しんでいます。この痛みには、決め手となる治療法は、まだありません。いわゆる痛み止めは効きません。痲薬性の鎮痛剤(オピオイド)も効果が薄いという研究者が多いです。

 この痛みに対して、大麻やその薬効成分であるカンナビノイド(Cannabinoid)が有効であるといわれています。そのため、海外では使えるようになってきています。

 例えばカナダでは、2001年に医療目的での大麻の所持と栽培を認める法律ができ、「脊髄損傷による激痛や継続的な痙攣」をもつ患者が医療大麻を使うことを認めています。

 わが国も当然、医療大麻について認める方向で進むべきと考えています。なぜなら「たとえ危険な薬品であっても、管理の下、病気の治療になら使ってもよい」と考えるのが妥当だと思うからです。

 そのためには、国民の「医療大麻問題」に対する正しい理解が必要です。皆様のご協力をお願いいたします。
 

 
 
 

障害のある人も ない人も
痛みのある人も ない人も
ともに支え合い
より生きやすい社会となりますように

放射能災害、津波、地震をのり越えて
 
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