脊髄損傷後の神経障害性疼痛は、怪我の程度とは関係なく一部の人に現れる痛み。脊髄を損傷すると、神経がすべて切れた完全痲痺の人にも、ほとんど痲痺のない人にも、ほぼ同じ割合で現れます。痛みの程度や種類、痛い時間は、人それぞれで、本人に聞いてみなければわかりません。
 普通、痛みは、体の異常を知らせる警報と考えられていますが、この痛みは違います。痛みを感じる仕組みが故障し、痛いはずもないのに痛いという病気。原因は実に複雑で、全然意味が解りません。
 1970年代前半までは、こうした痛みは全て心のせいと捉えられ、痛いはずもないのに痛がるヘンな人、あるいは心の病としか見られず、うちの家内のような患者さんは、精神病院に入れられたのかもしれません。
 1980年代には、動物実験でも神経障害性疼痛の存在が証明されるようになりました。しかし、こうした知識は、お医者さんも含め正しく広まっておらず、このような患者さんの多くが、今でも、怠け、うそ、心の病などと言われ厳しい状況に追い込まれています。
 さらに、こうした痛みに対して、わが国の医療は他の先進国より20年以上遅れており、まともに診てもらえるのは、本当に幸運な一部の患者さんにとどまっているようです。
 以上、医学には素人の50代後半のおっさんのぼやきでした。


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