2015年03月

【一目で分かる慢性の痛み対策】

 これまで医療は、細分化専門化することで進歩し、多くの病気が治せるようになってきました。

 しかし一方で、たくさんの要因が絡み合い、悪循環を起こしているような病気については置き去りにしてきたのかもしれません。

 「慢性の痛み」もその一つ・・・。

 慢性の痛みの治療には、各専門分野が連携し、多くの視点で一人の患者さんを診ていくという体制が必要で、世界ではそれが標準になっています。

 日本は、縦割り社会。
 横に繋がり連携するのが苦手・・・
 慢性の痛み対策がおくれているのは、そのせいかもしれません。

 「慢性の痛み対策」の説明を図に表しました。
 ご指導とご活用・拡散お願いします。

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◎なぜ、慢性の痛み対策か

《急性痛と慢性痛》

急性痛は、正しい警告信号。生命の維持にとって大切。
 痛みどめの薬が良く効きます。

・慢性痛は、3か月以上続く痛み。
 (3か月あればだいたいのけがや病気は治ります・・)

 ※治りにくい関節炎や免疫疾患などのために
  痛み信号がずっと出ている場合。
 ※神経が傷ついたことをきっかけに
  痛みを感じる仕組みが壊れた場合。
 ※なんらかの事情で、痛みを感じる神経の一部か全体が
  過敏化している場合。

 普通の痛みどめの薬は、ほとんど効きません。
 多くの場合、痛みに見合うだけの異常を検査で見つけることはできません。
 わが国には慢性痛を診る仕組みが整っていません・・・

《慢性痛診療体制》
・慢性痛の治療は、急性痛と全く違います。
・慢性痛には、慢性痛の治療が必要。
・慢性痛の治療には、全人的治療すなわち、
 理学療法、認知行動療法などを取り入れた
 集学的取り組みが世界の標準。


・まずは、「学際的痛みセンター」としてモデル事業が必要では?

《参考》

【痛みに苦しむ人々の希望】
 オーストラリア ニューサウスウェールズ州では、州を挙げて慢性の痛み対策に取り組んでいます。最新の知見に基づいた全人的な治療法を提案し、より良い医療の普及に努めています。
 このビデオは、患者教育用のウェブサイト(ペインマネージメントネットワーク)の中のビデオの一つで、痛み全般について解説しています。
 力強く「脳神経科学の進歩によって、これまで救いようがなかった"痛み"に苦しむ人々を救う方法が見つかりつつある。」と述べているのが印象的です。



≪以下その内容の解説≫

◎希望
 素晴らしい事は、脳神経科学の研究成果によって、これまで手の施しようがなかった痛みに苦しむ人々を救えるのではないかという希望を臨床医が持てるようになったことです。
 私たちのスキルは、人生に対する痛みの悪影響を減らし、痛みの軽減に役立ちます。

◎痛みの役割
 本来、痛みは生命を守る機能で、何かがあると"痛み"が発生し、痛覚受容体からのメッセージが脊髄を通して脳に伝わり、そして、私たちは必要に応じた行動をとることができます。

◎痛み情報の調節(フィルタまたはゲート)
 一方で、神経系の中でメッセージは、修正されたり変更されたりします。私たちは情報量を調節し脳に伝えるフィルタまたはゲートを持っています。
 例えば脊髄には、余分な情報を脳に伝えないようにするためのフィルタまたはゲートがあり、必要な情報だけを脳に伝えています。
 このように痛みの仕組みが説明できるようなったことは、痛みの治療に役立ちます。

◎急疼痛と慢性痛はまったく違う
 急性痛と慢性痛では、経験の仕方も、治療の仕方も違います。

◎急性痛
 急性痛は、どこに異常があるのか脳に知らせるメッセージです。
 この痛みには、脊髄のゲートは非常によく働き、強い薬を与えれば、門を閉めることができて痛みのボリュームを小さくすることができます。だから、コントロールがしやすいのです。

◎慢性痛
 慢性痛は、強い薬もあまり効きません。
 慢性痛の患者は、多くの検査を受けますが、痛みの原因を見つけることは困難です。すべて頭の中で作られたメッセージの場合もあり、また、痛みの引き金となっている怪我や病気が、そんなに大きくないにもかかわらず、ゲートが開いてしまい音量を上げているので、はるかに強く痛みを経験することがあります。
 実際には、関節炎、神経の痛み、帯状疱疹の痛み、癌の痛み、自己免疫疾患からの痛み、これらが、多数の人にとっては痛みの引きがねになっています。
 そして、ゲートの概念は、これらの人々にも関係があります。ゲートが開きボリュームが上がっていると、痛みの経験が、より強く深刻になり、悪い状況が続いてしまいます。

◎グッドニュース
 良い知らせは、ゲートを閉じて、痛みの音量を下げるための手立てが顕かになりつつあること。
 脳から脊髄に繋がっている神経系には、ゲートをコントロールするための経路があり、その経路を通って脳から放出された化学物質が下りていきます。
 これらのうちのいくつかは、ゲートを開く役割の興奮性化学物質で、これらのうちのいくつかは、ゲートを閉じる抑制性化学物質です。
 私たちの思考や感情によって、これらの経路が変わったり、放出する化学物質の種類が変わったりすることがわかっています。例えば、疲れていたり、ストレスにさらされていたり、不安だったりすると興奮性化学物質がゲートを開き、私たちの痛みを増大させます。
 しかし、落ち着いてリラックスしている場合は、抑制性化学物質が放出され、ゲートを閉じて、私たちの痛みは軽減されます。
 従って、考えや気持ちは、痛みの経験について、非常に重要です。

◎神経可塑性の概念
 神経可塑性の考え方は、痛みの治療にとても役立つ概念です
 神経可塑性とは、簡単に言うと脳や神経系は、絶えず変化し続けているということ・・・。つまり、それは痛みを減らすための、脳を再トレーニングする手立てがあるということ。
 運動、リラクゼーション、気分転換、瞑想、食事療法など、これらの全てが痛みに対処するのに有効であるということが分かっています。
 ただし、一つの手立てで目的を達成できるようなことは、まずないので、いくつかの手立てに取り組むべきです。
 このスキルの実践を始めた人々の多くが、2~3ヵ月後に、生活の質を向上させています。

◎痛みを一人だけで管理しない
 痛みを一人だけで管理しようとしないことが大切。
 友人、家族、医療専門家。それらの人と共に管理に取り組むようにしよう。
 これは良い方法ですが、時間と訓練は必要。
 そしてその技術を生活の中に位置付けることが大切です。


我が国においても、本格的な慢性の痛み対策が進むことを望みます。

注)以上、医学には素人の文章につき、医学的判断を必要とされる場合は、専門家にご相談をお願いします。
また、間違いなどに気づかれましたらご指摘いただけるとありがたいで。皆様のご指導よろしくお願いします。
 

脳は、痛み以外の信号を
痛みとして解釈してしまうことがあります。
神経は、痛み以外の情報を
痛みとして脳に伝えてしまうことがあります。

残念なことは、
他人から見れば、幻のような経験も
本人にとっては、紛れもない現実だということ
そして、その現実を
客観的に証明する手立てがないことです。

・・・・・・・・・・・

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慢性疼痛を
神経可塑性病ととらえると・・・
患者さんの
無用な不安や不満を
取り除くことができるとともに
なぜ、患者が主体的にならないといけないのか
手術や検査がなぜ無効で害にもなりうるのか
多視点多アプローチが、なぜ有効なのか
随分すっきり説明できそうです。
ただ、これだけですべてが
解決できると考えると間違うと思います。

痛みは複雑、単純に考えようとすればするほど
・・本質が見えなくなるかもしれません。

以上、素人のおっさんのつぶやきにつき
根拠の無い話かもしれませんので。

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・・・・・・・・・・・
◎安心は、ときどき薬よりも、よく効く薬
◎慢性痛は、神経可塑性の病気なのかもしれない
◎安心して前向きな気持ちで、
  神経を再教育して、良い方向に再構築。
◎多視点、多アプローチが理想。

おまけ、
痛みの中枢は、脳全体。
不安や怒りは、神経系の再構築に悪い影響がありそう・・



注)以上、医学には素人の文章につき、医学的判断を必要とされる場合は、専門家にご相談をお願いします。
また、間違いなどに気づかれましたらご指摘いただけるとありがたいで。皆様のご指導よろしくお願いします。


【慢性痛は、現実。それは、気のせいなどではありません】

《慢性痛治療について大切な8つのこと・・・》

 オーストラリア サウスウェールズ州では、州を挙げて慢性の痛み対策に取り組み、最新の医学に基づいた治療が国民に浸透するよう広報に努めています。
 これは慢性痛患者教育用のウェブサイト(ペインマネージメントネットワーク)のトップページに書かれている文を翻訳したものです。

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①科学の進歩により、痛みに苦しむ人々と医療者の治療の成果を変えることができるようになりました。

②幅広い視点から、自己管理に積極的に取り組むことで、神経系を再教育し痛みを和らげることができます。

③医学的処置や治療の効果は限定的で、かなりの危害のリスクを伴います―通常、それらの使用は短期間だけに推奨されます。

④適切なサポートネットワークの構築は、患者と医療者にとって大切です。

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⑤慢性痛は、現実です。それは、気のせいなどではありません。

⑥他の慢性疾患や体調不良と同じように、慢性的な痛みの管理を成功させるには、患者と医療者が協力することが必要です。そのためのGP(家庭医)の役割は重要です。
(GPとは→ http://elly.exblog.jp/1346189 )

⑦慢性的な痛みの管理を成功に導くには、睡眠と心の状態の管理や健康的ライフスタイルが重要な役割を果たします。

⑧多くの人々は、薬物を使って痛みと機能を管理しています、しかし、医学的なチェックを参考にしながら別のアクティブな戦略とバランスをとっていくべきです。




我が国においても、本格的な慢性の痛み対策が進むことを望みます。

注)以上、医学には素人の文章につき、医学的判断を必要とされる場合は、専門家にご相談をお願いします。
また、間違いなどに気づかれましたらご指摘いただけるとありがたいで。皆様のご指導よろしくお願いします。



【痛みに支配されない人生を送るための取組み】

 オーストラリア サウスウェールズ州では、州を挙げて慢性の痛み対策に取り組んでいます。そして、神経可塑性やゲートコントロール理論など最新の知見に基づいた全人的な治療法を提案し、国民に広めています。
 このビデオは、慢性痛患者教育用のウェブサイト(ペインマネージメントネットワーク)の一番初めに見るべきビデオです。

 2人の医師と、5人の患者がこのサイトの素晴らしさについて語っています。

≪以下その内容の解説≫

◎一人目の医師:痛みの専門家 Dr Chris Hayas
「オーストラリアでは、5人のうち1人が慢性の痛みを持ち、多くの人々が、その痛みによって日常の活動を妨げられている。そうした患者は、周りからの理解を得られず、孤立と孤独を感じている。このウェブサイトは、最新の科学研究の成果に基づき、患者と総合診療医、その他多くの医療専門家の充分な議論の上で作られた、慢性的な痛みを治療できる希望のメッセージである。」

◎二人目の医師:家庭医 Dr Anna Kelly
「慢性疼痛患者の誰もが利用できるこのウェブサイトができたことは素晴らしい。順に各セッションを見て取り組むと良い。また一緒にウェブサイトを見てくれる家族や友人を得るようにしよう。そして、質問があれば遠慮しないであなたの家庭医にたずねよう。」

○一人目の患者:Gavin
「これまで人生の終わりのように感じ、あきらめかけていたが、この方法に救われた。それは、私の人生に全く新しい可能性を開いた。」

○二人目の患者:Lauren
「6ヶ月前は、信じられなかったが、あきらめなければ、希望はあるということが、だんだんわかってきた。しだいに、方法が分かって、少しずつ良くなっていった。」

○三人目の患者:Judy
「私が学んだのは、痛みのコントロールの方法。それは私の生活を大きく変え、いっぱい、できることが増えた。」

○四人目の患者:Sam
「私は、12ヵ月前まで、慢性的な痛みの独房に閉じ込められていた。今は、自由の身だ。」

○五人目の患者:Mary Lynne
「私には、今でも常時続く激しい痛みがある。でも、ここで学んだ素晴らしい何かを使うことでコントロールができている。私は、もう痛みに支配されていない。だれもがこの方法を実行すれば、生活の質の向上を図ることができ、痛みに支配されない人生を送ることができる。」



  我が国においても、本格的な慢性の痛み対策が進むことを望みます。

注)以上、医学には素人の文章につき、医学的判断を必要とされる場合は、専門家にご相談をお願いします。
また、間違いなどに気づかれましたらご指摘いただけるとありがたいで。皆様のご指導よろしくお願いします。

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